あなたは高齢者の徘徊についてどれだけ知っているだろうか。徘徊は、認知症が引き起こす場合が多い。本人は目的を持って歩いているのだが、結果として場所が分からなくなり帰れなくなったなど、行方不明になったり、事故に巻き込まれてしまうケースがある。

また、車に乗って徘徊して事故を起こしてしまい、他人を巻き込んでしまうこともある。さらに、高齢者の認知症の男性が、駅構内で電車にはねられ亡くなった事故もある。鉄道会社は遺族に損害賠償を求めたが、最高裁で遺族は無罪判決となった。介護する妻も高齢で長男は遠方に住んでいたためだそうだが、認知症介護の現実が浮き彫りになった事故であった。

また徘徊は、季節によっては炎天下で歩き回り熱中症になったり脱水症状をおこす。真冬には、薄着で歩き回るので風邪をひいたり低体温症になる場合もある。このように徘徊は季節や昼夜も問わず起こるので、家族が見守り続けるのは難しいのだ。しかしできるだけリスクを減らせるように、徘徊が起きたら早期発見できるといい。

徘徊に早く気がつくようにする工夫には、玄関にセンサーをつけたり、本人の身につけているものの中にGPSを忍ばせておく方法もある。また、本人の行動パターンや立ち寄りそうな場所も分かるので、一緒に外出して観察するのもいいだろう。

また、徘徊が起きたときに防災無線も有効である。警察や職員や家族だけでは探しきれない場所も、地域の人の協力で無事に発見できるケースも少なくはない。

家族だけで解決しようとせず、このように地域とのつながりを大切にし、福祉サービスなどを利用していくことも大切なことである。