徘徊とは、認知症高齢者の「周辺症状」という症状のことだ。徘徊は高齢者に危険をもたらし、家族の知らないところで転倒し怪我をする可能性がある。
また、自分の事が出来ないため脱水症状や、夏は熱中症を、冬は低体温症を引き起こす可能性もある。徘徊は昼夜問わず行われるため、介護をしている家族なども安心して生活することが難しくなる場合もある。
そんな徘徊には、いくつかの原因がある。まず身体的な原因だ。トイレに行きたい、お腹が空いたので何か食べたい、など身体的な理由が原因で徘徊が始まる。この場合はトイレに入り排便したり、飲食することで満足出来るので徘徊が落ち着く場合がある。便意が原因の場合は、主治医に服薬の相談をすることで、便意が落ち着き体調が改善する事がある。
次は心理的な原因だ。主に心理的ストレスが引き金で、過去の記憶から決まった時間に何かをしなくてはならないという衝動に駆られて動き出したり、生活環境が急に変わったりすると、ストレスがかかり不安や焦燥感にかられて徘徊してしまう。この場合は、事前にそのストレスを和らげることで症状の改善も期待出来る。
他には、認知症の中核症状である記憶障害や見当識障害が原因で徘徊を引き起こすことがある。自分の居場所が分らなくなったり、道を忘れるといった症状である。
また、前頭側頭型認知症の症状によっても徘徊は起こる。この認知症は感情的制御がきかなくなったり、何度も同じことをするといった行動が特徴的で、その病気自体が原因で徘徊が起こる。